Our Furniture赤富士竜市の家具について-購入前の注意点-
赤富士竜市で取り扱っている家具のほとんどは、数十年から百年以上前に日本でつくられた古家具です。長い間大切に使われてきた古い和家具を仕入れ、丁寧に手を掛けて新たな命を吹き込み、これから先へと受け継ぎます。
当工房には、木工所での家具製作、アメリカ・ヨーロッパのビンテージ家具のリペア、インテリアショップでの買付け・販売業務などを経験してきた、家具のプロフェッショナルが在籍しています。
国内外、新旧問わず様々な家具に触れてきた私たちが魅せられた日本の古い家具。
美しい木目や、時を経て深まった美しい質感、手づくりの味わいなど、非常にたくさんの魅力が詰まっています。
それぞれの家具が過ごしてきた長い時間に思いを馳せながら、いつもその魅力を最大限に活かして仕上げるように努めています。
当時の職人の仕事に敬意を表しつつ、今もその家具が無事で存在していることに感謝しながら、当工房なりの表現を加えて唯一無二の家具に仕上げます。
新たな輝きを持って蘇った世界にひとつだけの家具。
皆様のもとにお届けし、またこれから先も大切に使っていただけることが、私たちにとってこの上ない喜びです。
リペアポリシー
長い年月を経た古家具の、人々の生活の中で意図せずついたキズや汚れ。そのキズや汚れによる味わい深い表情は、その家具だけが持つ個性です。
表面を削り直したり、新しい材料で作り替えたりすれば、きれいに修復することは可能です。極端に言えば、全て新しい材料で同じ形の家具をつくることも不可能ではありません。
しかし、必要以上に手を掛けてしまうと、私たちがお伝えしたい古家具の魅力が失われてしまいます。
古家具の魅力をできる限り活かしながら、どこまで手を加え、何を残すかの加減が非常に難しいところです。
古家具の状態は、置かれていた環境や使われ方により様々で、同じものは存在せず全て一点ものです。当工房では、古家具それぞれに毎回しっかりと向き合い、その状態と個性を見極め、修復に取り掛かる前に仕上げの方向性を検討しています。
それぞれの状態に応じて、味わいを活かし、使いやすさや価格等のバランスを考慮しながらベストな修復の方法を決定します。
また、古家具の魅力を活かすことを前提として、現代の素材との組み合わせや、一般的に和家具には使われない加工方法や仕上げ等も取り入れながら、常に新たな可能性を探ります。
古家具の仕上げ
年月を経た古い家具には、現代の新しい家具とは違う点がいくつかあります。
キズ、汚れ、サビ、欠け等
数十年から百年以上前につくられた家具のため、基本的に全てに細かなキズや汚れ、サビや欠け等があります。
元々の状態や仕上げの方法で、キズ等の程度や見え方は異なります。
著しく美観を損なうものや使用する上で問題がある箇所に関しては、新しい材料で一部を作り替えたり、新たに塗装をする等の補修を施しています。ひとつひとつ状態が異なりますので、各商品詳細ページの写真にてご確認ください。
内部の仕上げ
扉や引き出しの内側は、古家具の状態や仕上げの方向性に応じて、下記のような方法で修復しています。それぞれの家具にどのような修復をしているかは、各商品詳細ページに記載していますので、そちらをご確認ください。
・研磨仕上げ
元々の素材のまま、表面を研磨して仕上げます。
深いキズやシミは取り除けないこともありますが、オリジナルの素材感を味わえます。
・塗装仕上げ
元の素材のまま研磨して表面を整えた後、 塗装仕上がりイメージによっては、カラーを入れるなどして塗装で仕上げています。
・張り替え
ダメージが大きく研磨では対応しきれない場合や、内部をリフレッシュしたい場合は、シナや桐などの板材やその他の新しい素材で張り替えます。元々の素材ではなくなりますが、古家具が初めての方にも使いやすい仕上げです。
無垢材の特徴
当工房で取り扱っている家具は、多くに無垢材が使われています。
無垢材とは、丸太から製材してつくられた木そのままの素材です。
現代では技術の発展により、木目を印刷したプリント合板や、ポリエステル合板、メラミン化粧板などの素材が広く普及しています。
それらの新しい素材と比べると、自然素材の無垢材は表情が豊かで、経年変化で深みが増して魅力的な風合いになることが特徴です。
また、生きた素材で呼吸をしているため、周囲の湿度などの環境により絶えず膨張と収縮を繰り返しています。そのような無垢材でつくられた家具は、豊かな表情や質感が魅力の反面、割れや反り、ねじれ等の「動き」が生じるという特徴も持っています。
写真はリペア前の時代箪笥の引き出しです。
この時代の箪笥は全て無垢材でつくられており、引き出しの底板もはぎ合わせた無垢板です。長い間に板が痩せ隙間ができていますが、時代箪笥などの古い家具にはよく見られる状態です。
こちらがリペア後の写真です。このような隙間は、状況に応じてその部分に新しい木材を埋めて補修します。
修復後も無垢材は膨張・収縮をし続けており、再度割れができる可能性がありますが、これは無垢材の特性上避けがたいこととして、予めご了承ください。
また、状態によっては無垢材の代わりにシナ合板等で張り替えを行います。このような合板仕上げの場合は割れはできません。
※元々の雰囲気をそのまま残す仕上げの際は、強度や使用感、価格など全体のバランスを考慮して割れをそのまま残す場合もございます。
家具の寸法、歪み
現代の新しい家具の製造現場には多くの高度な工作機械が導入されており、純粋な手づくりのものは非常に少なくなっています。工作機械の発展に伴い手づくりの仕事は減ってきた歴史がありますが、時代箪笥などがつくられた頃まで遡ると木部はもちろん金具も全て手づくりです。
それに加えて、長年の間に生じた無垢材の「動き」もあるため、家具の寸法は測る場所により数ミリの誤差があることがほとんどです。各商品詳細ページに記載している幅×奥行×高さの寸法は、誤差がある中で一番大きな部分を記載しています。
また、上記と同様の理由で部材の反りや歪み、隙間、割れなどがあることも多いです。
程度に応じて、必要であれば部材を製作して入れ替えるなどの修復をしていますが、手づくり、無垢材の特性上、時には直しきれないものもあります。
その場合も、構造、強度、使用の面で問題が無いと確認をしたもののみ、販売しています。
上の写真の茶箪笥は、戸の上の角材に若干の反りが認められます。また、同じ角材の木口に割れが確認できます。この場合、反り、割れ共に現状で強度と使用上の問題は無く、これ以上状態が悪化することも無いと判断し、この状態で仕上げとしています。
新しい部材を同じ寸法で製作して入れ替えることも不可能ではありませんが、その場合代わりに古びた雰囲気や味のある質感が失われてしまいます。そのようなバランスも考慮し、修復する部分とそうでない部分を慎重に選定しています。
ガラス
ガラスが使われている家具に関して、当工房ではオリジナルの雰囲気を受け継ぐことと、素材を大切にするという観点から、出来る限り当時のガラスをそのまま使用するようにしています。小さなキズなどは、軽度のものであればクリーニングのみ実施しています。
割れていたり、目立つ大きなキズ等があれば交換しますが、その際もストックしている古ガラスをカットして再利用するため、小さなキズ等がある場合があります。
新しいガラスを製作して交換することもありますが、ストックしているものでは寸法や枚数が足りない場合に限ります。
無塗装仕上げ
当工房の家具には、古い塗装を研磨してそのまま仕上げとしている家具があります。
古く劣化した塗装を剥がした後に表面を整える無塗装仕上げで、素材そのままの木目や手触り、古家具の枯れた質感をお楽しみいただける仕上げ方法です。
その代わりに、表面を塗装で保護していないため、シミや汚れが付きやすいというデメリットがあります。水分や汚れには弱いため、ご使用の際にはお気をつけください。
引き出し、戸の調整
当工房では、古家具の戸や引き出しの動きを全て確認・調整しています。
引き出し、開き戸、引き戸などの可動部分が固い場合は、スムーズに動くように鉋で削る等してしっかりと調整します。見た目は古いですが、日々の扱いやすさを損なわないよう丁寧に仕上げています。
におい
木製の家具は匂いがする場合があり、原因としては以下のものが考えられます。
1.杉や桐、けやき、シナ合板など、素材の匂い
2.水性塗料、ラッカー、ウレタンなど、塗装の匂い
3.接着剤の匂い
1は素材そのものの匂いです。
2と3は、家具の仕上げに使用する塗料と、補修、リメイクに使用するボンドです。
当工房で使用しているものは、作業中や乾燥中には匂いがありますが、完全に乾燥してしまうとほとんど感じない程度になります。
戸や引き出しを長い間閉めた状態だと、開けた際に匂いを感じることがありますが、定期的に戸や引出しを開け、内部に湿気などがたまらないようにしていただくと、匂いも薄くなります。
それでも気になる場合は戸や引出しを開けた状態で、扇風機やサーキュレーターでしばらく風を当てておくと、より緩和されます。その際は家具を置いているお部屋の換気も忘れずにお願いします。
1~3は通常使用する上で気にならない程度のもので、当工房では許容範囲内としていますが、それ以外に以前使用・保管されていた環境により引き出しの中などに、強いにおいが染み付いていることがあります。その場合の原因は下のようなものになります。
4.防虫剤(樟脳)
5.カビ
6.においが強い物(線香、香水など)を収納していた
7.以前置かれていた部屋の匂い(タバコ、ペットなど)
4~7のような強いにおいが染み付いてしまっている家具は消臭が難しいため当工房では
基本的には仕入れませんが、修復で対応できそうな時は仕入れる場合もあります。
その場合は匂いがついてしまっている部分を取り除き、新しい材料で作り替えます。
下の写真の箪笥は、引き出しの底板を新しくシナ合板で作り替えたものです。
また、リペア時の確認で状態が良く匂いもあまりない場合は、下の写真のように元々の素材のまま表面をすべて研磨し、その後クリーニングを行って仕上げています。
以上のように、古家具の魅力を活かしながら、できる限り不快な匂いが無いよう努めています。ただし、家具の素材や仕上げ、設置場所の環境などにより1~3の匂いが若干することもありますので、予めご了承ください。
目に見えないもので、感じ方にも個人差があり正確にお伝えすることが難しいため、弊社倉庫までお越しいただける場合は、実物を確認していただくことをおすすめいたします。
家具の設置場所
当工房で販売している家具のほとんどに、無垢の木材が使用されています。
自然素材の無垢材は、丸太から切り出され、家具の姿になり、数十年から百年以上たった今でも呼吸し続けています。生きた素材は非常に深みのある質感を持ち魅力的ですが、それと同時にデリケートな面もあります。
置かれる環境により大きな負担が掛かる場合もあるため、家具を設置する際には注意が必要です。特に、急激な湿度や温度の変化は家具にとって負担が大きく、無垢材の変形や割れに繋がります。変形の程度が大きくなると、戸や引き出しの動きが固くなってしまうなど、使用上の不具合が生じてしまう恐れもあります。
そのため、出来る限り家具に負担がかからないように、直射日光や、エアコンの風が直接当たる場所、ストーブの近くや湿気の多い場所等を避けて設置していただくことをお願いいたします。